フォトンファクトリー(PF)では、1982年に最初の放射光発生に成功し、以後、装置・機器の性能向上、設備の充実を図ることにより、全国の大学・研究機関・企業等の研究者による放射光利用研究を推進しています。また、1987年にはトリスタン入射蓄積リング(AR)の放射光利用実験を開始し、1997年からはトリスタン計画の終了に伴い放射光専用リング(PF-AR)と位置づけて、特色ある研究成果を生み出しています。

 

pf_phフォトンファクトリー(PF)は、全国の大学の共同利用機関として、年間に約3500名の研究者(大学院生を含む)に利用されています。また産業界のユーザーのためのプログラムとして、成果占有非公開制度(「施設利用」)や共同研究などがご利用可能です。PFが培ってきた放射光による材料評価・解析技術を、企業の研究開発に活用していただくことを目的として支援体制を充実させ、産業界の技術課題の解決に貢献いたします。
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 ビームライン・利用事例紹介

硬X線XAFS(BL-9A, 9C, 12C, 15A, NW2A, NW10A)

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XAFS (X-ray Absorption Fine Structure)法は、入射する放射光(X線)のエネルギーを変えながら試料によるX線吸収端近傍あるいは広域の吸収の具合を測定する実験方法です。この吸収スペクトルの微細構造を解析することにより、対象とする物質の電子状態(価数や結合の対称性)や局所構造(配位数や結合距離などの結合状態)を元素選択的に知る手段です。ほぼ全ての元素に対し、試料の状態に依らずに、気体、液体、固体、いずれでも測定可能です。
[上の図は新コスモス電機(株)の提供]

X線トポグラフィー(BL-3C, 20B)

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X線トポグラフィーは、結晶内部の転位、欠陥、格子歪等によるX線回折強度の変化を画像化して観察する手法です。結晶であれば無機・有機を問わず適用可能です。数ミクロン程度の解像度が得られ、大型結晶の観察や重原子材料の観察、超高感度測定、実時間観察、高温等特殊条件下での観察、白色ラウエトポグラフィーによる観察等々が可能です。この方法は従来よりシリコン等、高品質の結晶素材・デバイスの製造法の開発や改良に大いに貢献してきましたが、現在ではワイドギャップ化合物半導体の結晶評価等によく使われています。

吸収・位相コントラストイメージング(BL-14B, 14C, NE7A)

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コントラスト法は、照射ビームを高度に単色・平行化することによりX線が物質を透過する際の位相シフトや屈折を検出する方法で、従来の吸収コントラスト法が不得手とする密度変化の小さな軽元素材料に対しても高い感度を持つため、生体軟組織等の分析に威力を発揮してきました。最近では各種産業材料にも活躍の場を広げつつあります。

軟X線XAFS(BL-7A, 11A, 11B, 11D, 13A, 16A)

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軽元素のX線吸収端は3 keV以下の軟X線領域にありますので、その周辺の電子状態や局所構造をXAFS法で解析する場合、軟X線分光ビームラインを利用することになります。軟X線は、硬X線に比べて物質との相互作用(吸収)が大きいため、試料の状態や測定手法には多少の制約がありますが、C, N, O, F, Na, Mg, Al, Si, P, S, Clなどの軽元素について、電子収量法もしくは蛍光X線収量法による測定が可能です。
[上の図は新日鐵住金(株)の提供]

光電子分光(BL-3B, 13A, 28A)

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光電子分光法は、光電効果により物質の表面から飛び出してきた電子の運動エネルギーを測定することにより、物質中の化学状態や電子状態を調べる手法です(図1)。非破壊で、元素選択的な化学状態およびその表面・界面からの深さ分析が得られるという特長があります。この方法は従来より半導体デバイスの表面・界面分析を含め、あらゆる材料の分析に用いられています。X線管を線源とする市販装置が普及していますが、励起光として放射光を用いることで、高エネルギー分解能でかつ高効率・高精度な分析が可能になります。

粉末X線回折(BL-8A, 8B)

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X線回折(X-ray diffraction, XRD)は、規則的に並んだ結晶格子面にX線を入射すると、特定の方向に強いX線が散乱される現象(回折現象)を利用した測定法です。回折X線の位置や強度、ピークの線幅などから結晶固有の規則性に関する情報が得られ、結晶中の原子の位置、結晶性(結晶粒のサイズ)、結晶の配向性(結晶方位の分布)などの解析が可能です。

X線小角散乱(BL-6A, 10C, 15A)

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X線小角散乱(Small-Angle X-ray Scattering, SAXS)は、物質にX線を透過させた時、およそ5度以下の散乱角度領域に現れる散乱でありを小角散乱と呼び、その散乱角度に対応する数ナノ~数百ナノメートルの空間スケールの物質の構造情報を解析する手法です。測定試料は、有機・高分子薄膜、結晶性高分子、ブロック共重合体、金属材料、生体高分子、脂質、繊維など多岐に渡り、それらの分子サイズ、形状、周期構造、配向性などに関する情報が得られます。