第30回CROSSroads Workshop「J-PARC MLFにおけるフォノン研究の現状と展望:理論と実験の連携強化に向けて」


イベント詳細


J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)は、設計出力である1MWに到達し、世界最高クラスの中性子分光器群を備えるに至りました。これにより、我が国は高品質な格子揺らぎ(フォノン)データが得られる、他に類を見ない研究環境を実現しています。

フォノンは、物質の根源的な特性を理解する上で極めて重要な役割を担っています。具体的には、材料の硬さや熱伝導性に直接影響を与えるだけでなく、電荷やスピンとの相互作用を通じて、誘電体や熱電材料、太陽光電池、固体電解質を始めとする多岐にわたる機能性材料の発現機構の鍵を握っています。中性子は、散乱能が電子数に依らないことから軽元素のフォノンに関する感度が高く、また負の散乱振幅を持つ原子があることからX線で得られるフォノンデータと相補的な情報を提供し、幅広い物質におけるフォノン挙動の解明にその威力を発揮します。しかしながら、中性子散乱実験によって得られる膨大なフォノンデータから、物質の本質的な格子情報を効果的に抽出するには、第一原理計算をはじめとする理論的なアプローチとの綿密な連携が不可欠です。

本研究会は、J-PARC MLF、ひいては日本におけるフォノン研究を一層加速させることを目指し、企画されました。研究会では、第一原理計算の専門家およびフォノン研究の第一人者をお招きし、それぞれの分野における最新の研究成果についてご講演いただきます。さらに、J-PARC MLFの分光器の担当者から、それぞれの分光器が持つ特徴や得意とする測定、得られるデータの詳細について、詳しくご説明いただきます。また、講演だけでなく、J-PARC MLFを用いたフォノン研究に関する活発な議論の場を設けます。理論と実験の研究者が一堂に会することで、学際的な連携を促進し、新たな研究テーマの創出に繋がることを期待します。

■ 開催日程:2025年 9月1日(月) 13:15~17:20
■ 実施形式:AYA’S LABORATORY量子ビーム研究センター1階大会議室およびオンライン配信(Zoom)のハイブリッド開催
■ 参加費:無料
■ 申込〆切: 8月26日(火)12:00まで
■ 詳細情報:https://neutron.cross.or.jp/ja/events/250901

■ 本シンポジウムについて
主 催:総合科学研究機構(CROSS)