分子科学研究所 UVSOR
施設の概要
UVSOR施設(自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設)は1周約53 mの小型電子蓄積リングと14本のビームラインで構成されています。
UVSOR施設が稼働を始めたのは1983年ですが、時代毎に新しい光源開発技術を積極的に取り入れ、2度の高度化に成功してきました(現在はUVSOR-III)。1 GeV以下の低エネルギー放射光施設としては世界的にも最高水準の性能を維持しています。
一方で、実験観測技術としては、イメージング技法の強化を重点課題に位置付け、分子科学における研究推進に貢献していきたいと考えています。分子科学が意味する分野の裾野は広がってきています。いわゆる物理化学分野に留まらず、バイオ分野や環境・エネルギー分野を含めて、様々な物性や機能を司る現象を見出し、その相関や因果関係を明らかにしていくことが求められています。 当施設が国際的な分子科学研究拠点として国内外の優れた研究者に利用していただけることを願っております。
(図はクリックで拡大します)
利用の形態
・大学・国公立研究機関の方
UVSORは大学共同利用機関である分子科学研究所の施設です。大学や国公立の研究機関の方は原則無償でご利用いただけます。旅費の支給を受けることもできます。
・民間企業などの方
装置や時期によりご利用いただける場合があります。原則有償です。
・ご利用については、事前に利用希望ビームラインの担当者や責任者までご連絡ください。(担当一覧はこちら)
ビームラインの紹介
UVSOR-IIIが誇る最先端の実験装置群をご紹介します。他のビームラインを含む詳細は施設ホームページをご覧ください(サイドメニューはビームラインのページにリンク)。
[BL1U]ガンマ線誘起陽電子消滅分光装置(GiPAS)
ガンマ線誘起陽電子消滅分光法を用いたバルク材料内部のナノメートル欠陥分析を非破壊で行える装置です。金属内部の転位、単原子空孔、空孔クラスターとガラスや高分子材料内部の微小空隙を分析することができます。大気圧や高温、液体中の試料環境で測定することができます。
[BL3U]液体のオペランド軟X線吸収分光装置
液体層の精密厚さ制御を行うことで、液体の透過軟X線吸収分光測定が行えます。これにより、軽元素を中心に、異なる元素ごとに液体の局所構造解析が行えます。更に、オペランド(実動作下)条件で、触媒反応、電気化学反応などの軟X線吸収分光測定が行えます。
[BL4U]走査型透過軟X線顕微鏡装置(STXM)
X線を30ナノメートルの微小スポットとして試料上に集光し、エネルギーを変えながらその透過光強度を計測することで、試料の高空間分解能2次元化学状態分析を行う事ができます。水中や大気圧下の試料観察も可能です。
[BL5U]高分解能スピン・空間・角度分解光電子分光装置
マイクロメートルサイズに集光した真空紫外光を物質に照射して、微小な物質や不均一な物質の電子状態を調べることができます。固体から放出された電子の角度・エネルギー情報だけでなく、スピンの情報も調べることができます。
[BL6U]波数空間分解光電子分光装置
価電子の特異な振る舞いによって超伝導・磁性・触媒活性など様々な電子物性や機能が発現します。軟X線の広い光エネルギー範囲と広角取込電子エネルギー分析器の特質を活かし固体物性物理・分子科学の研究を推進しています。
[BL7U]高分解能角度分解光電子分光装置
10電子ボルト以下の低いエネルギーの励起光を用いた高分解能角度分解光電子分光装置です。光を物質に照射して固体内部深くから放出された電子の放出速度と方向を調べ、対象とする物質の特徴的な性質(電気伝導、誘電特性、磁性、超伝導など)が発現する機構を調べることができます。